エジプト十字架の謎

<内容>
Tの字型のエジプト十字架に、次々とはりつけられて首なし死体となって発見された小学校長、百万長者、スポーツマン、未知の男!その秘密を知るものは死者だけである。ついにさじを投げたと思われたエラリーの目が、突如輝いた。近代のあらゆる快速交通機関を利用して、550マイルにのぼるスリル満点の犯人の追跡が行われる。さて、読者と作者の激しい謎解き戦はどうなるか?

・・という紹介通り、確かに最後の犯人とのデッドヒートは迫力があって素晴らしい。でも、それ以前が長くてややこしすぎ!!訳がわからないままの部分が長くて、ついイライラしてしまった。今まで読んだミステリの例だと、中間あたりで何がしか全体像が見えてきたり、探偵役がヒントを漏らしたりするものだけど。これはもう、ずーーーーっと最後の方まで、ヒントなし。訳が分からないままどんどん進まなきゃ行けないのがきつかった。ていうか、エラリー(探偵役)も何も分かってないし。(^^;そうか〜、これがエラリー・クイーンの形か。ふむ。キャラクターが気に入ったな〜、特にエラリーが良い。パパ・クイーンもナイスだ。
ミステリとして、トリックとか犯人・動機は、当たり前だけどかなり王道。今となっては「よくあるパターンだ」と感じるけど、発表された当時(1932年)は斬新だったんだろう。エラリーが恩師を話相手にチェッカーの試合を再現してみせる所や、殺人現場の手がかりから犯人を推理するシーンはもう、王道も王道。エラリーの屁理屈がいっそ気持ちが良い。