雷の季節の終わりに

内容(「BOOK」データベースより)
現世から隠れて存在する小さな町・穏で暮らす少年・賢也。彼にはかつて一緒に暮らしていた姉がいた。しかし、姉はある年の雷の季節に行方不明になってしまう。姉の失踪と同時に、賢也は「風わいわい」という物の怪に取り憑かれる。風わいわいは姉を失った賢也を励ましてくれたが、穏では「風わいわい憑き」は忌み嫌われるため、賢也はその存在を隠し続けていた。賢也の穏での生活は、突然に断ち切られる。ある秘密を知ってしまった賢也は、穏を追われる羽目になったのだ。風わいわいと共に穏を出た賢也を待ち受けていたものは―?透明感あふれる筆致と、読者の魂をつかむ圧倒的な描写力。『夜市』で第12回日本ホラー小説大賞を受賞した恒川光太郎、待望の受賞第一作。

『夜市』が面白かったので、続けて単行本も買ってきた。これもやっぱり、私たちの空間からは少しずれた空間と、そこに住む人たちの話。すごく面白かった。面白かったっていうより、やっぱり「好き」って感じかなあ。これは1冊で長編になってて読み応えがあった。
内容はやはり異世界の話で、半分あの世みたいな場所にある「穏(オン)」という名前の土地が舞台。最初は背景の事情は分からなくて、100年も昔のような田舎の村から話が始まって、徐々にそこがどんな所なのか分かっていく。後半、話が行ったり来たりして分かりにくいのだけど、最終的に話が全部ひとつにつながって、主人公の少年・賢也の生まれ育ち、事情が全部分かる。
なんだかね、ちょっと昔話か神話みたいな雰囲気? 他の本の帯の宣伝にもあったけど、「現代の遠野物語」と書いてあるけど、そんな感じだ。