玩具修理者 (角川ホラー文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも…死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く…。現実なのか妄想なのか、生きているのか死んでいるのか―その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。

とーーってもSFっぽい本だった。サイエンスっぽくはないけど、やっぱSFだよコレ。
この本は中編が2作入った文庫本で、片方がスプラッタホラー、片方がタイムトラベルもの。書き方が軽くカラッとしてて、人の感情よりも事態の説明、解説が多いからあっさり読めてしまったけど、よーく考えると2話ともかなり気持ち悪くて救いがない話。会話が回りくどくて理屈っぽいのと、血みどろの描写が気持ち悪かったけど、設定は面白かった。

表題作の『玩具修理者』がまたすんごく気持ち悪い話で、壊れてしまった(ていうか死んでる)弟を直してもらいに、近所に住む謎の人物「玩具修理者」のところへ行く話。激しくスプラッタ。2話目の『酔歩する男』タイムトラベラーの話なのだけど・・・これまた激しく救いがない。私が好きな感じの本ではないけど、結構面白かったんだよなー。登場人物の回りくどいやりとりに若干イライラしつつも、ちゃんと最後まで楽しく読めた。

この気持ち悪さ、気色の悪さ、居心地の悪さは意図的なものだろうから、だからこその日本ホラー小説大賞受賞なんだろうと思う。乙一といい、この作家といい、こういう私が「気持ちの悪い」と感じる作品って、何か共通のベース(基礎、共通認識みたいなもの)がある気がするんだけど、なんだろう。