ダヤンと時の魔法

『ダヤン、わちふぃーるどへ』『ダヤンとジタン』に続くダヤンの長編シリーズ3巻。
長い冬が終わり、タシルの街は春の喜びにあふれていました。けれども死の森の魔王は、かつて破られたことのない雪の神の掟をついに破って、 ジタンの秘密の元になる命の泉めざして北へ向かいました。怒った雪の神は、わちふぃーるどを氷一色の世界にしてしまおうと、恐るべき力をふるいはじめました。この危機を救うため、大魔女セは、ダヤンとジタンをはるかな過去へと旅立たせます。わちふぃーるど創世の秘密にせまる長編ファンタジー

どこにも書いてないようだけど、この話はまだ完結していない!続きを読まないことには今のところ何とも判断に困るところだ。やっぱりイラストやグッズが豊富な「わちふぃーるど」だけあって、キャラクターの描写がどれもくっきりしている。不思議な生き物をサラッと描いて動かす感じや、キャラ同士のやり取りがおもしろい。冒頭でジタンが川べりの草の上に寝転んで<今日のぼくはまるでダヤンみたいだ>と思ったり、川の流れを見て時間について考えるシーンも、水音が聞こえてくるようで素敵だった。

私はページをめくるごとに「わちふぃーるどにこんな秘密があったとは・・・」と驚きながら読んだけれど、それだけ話が込み入っているということは、これはわちふぃーるど初体験の人には向かない本だと思う。わちふぃーるどという世界の創生にまつわる冒険の話なので、事前に長編だけでなく絵本や短編やイラスト集などで描かれた「わちふぃーるど」とその住人たちをある程度知っていないと、この話のどこがどう面白いのかさっぱり分からない、ということになるかもしれない。

*[洋書][は][Joanne Harris][ジョアン・ハリス]Five Quarters of the Orange
第4部のタイトルLa Mauvaise Reputationは、カフェの名前だった!つまり知る人ぞ知る、ブラックマーケットの取引場。始めは遊び半分だったのが、徐々にはまっていくということか?