The Nanny Diaries

EARTH TO NANNY, COME IN, NANNY!(地球よりナニーへ、応答せよ!)p43
AAAAAAHHH!!! HE'S KISSING ME!!!!!(きゃーーーーっ!キスされてる!!!!)p117

マンハッタンのアッパー・イーストサイドの超高級住宅地に、子守りとして雇われた女子大生のヒロイン、ナニーが、社交やブランド品ショッピングでまったく子育てをかえりみない傍若無人の母親、ミセスXのもちかける無理難題と4歳の小悪魔グレイヤーを相手に七転八倒するウルトラ痛快・エンターテイメント小説。アメリカで大ヒット(映画化も決定)、明るくて勝気で底抜けにやさしくて、お人良し。そんな21歳のヒロインが、爽快なキャラクターのママ、グランマに叱咤されながらグレイヤーと繰り広げる無我夢中の日々! ミセスXのめくるめく贅沢ファッションやハーバードの学生H.H.とナニーのロマンスの行方も楽しみのひとつ。

ベストセラー本では久々の大ヒット!「全米ベストセラー」と銘打たれた作品をこんなに気に入ったのは、もしかしたら初めての事かもしれない。今回はふとしたキッカケで読むことになったが、時期を逸せずに今読めたのが嬉しい。コミカルでとてもおもしろくて、最初から最後まで大笑いしながら一気に読んでしまった。

ナニーというキャラクターが最高! Bridget Jones's Diaryが大人の女性を描いた「日記」なら、Nannyは女子大生と、ある家族を通してアメリカの上流社会を描いた「日記」だ。ナンがMrs.Xに雇われてから、グレイヤーのナニーとして、また大学に通う多忙な学生としての日々、グレイヤーと同じアパートの住むH.H.(Harvard Hottie)との恋も絡んできて、大忙しの毎日が描かれる。マシンガンのように最初からガンガン飛ばすジョーク、ツッコミ、流行りものの話題、笑いのネタの連続で出来上がった、テンションの高いコメディ。わがままぼうやグレイヤーのリアルな言動、ぶっ飛んだグレイヤーの両親。頑張りやで性格も良いけど、同時にどこまでも「現代っ子」でもあるナニーが可愛い!

F言葉、流行語、ディズニーアニメ(ライオンキング、アラジン、くまのプーさん、etc)、ニューヨークの場所・店の名前が頻出し、章の冒頭には名作からの抜き書きがある。ニューヨークという街の今を描いている、とも言えるかも。この本が「現代のメリー・ポピンズ」と紹介されるのは伊達ではない。ナニーが傘を持って空を飛んでいる表紙イラストはメリー・ポピンズの姿を意識してのものだろうし、読後に残る爽やかな寂しさも、少し似ている気がした。