陰陽師 : 龍笛ノ巻

◎怪蛇
博雅の知り合い2人に怪異が起きた。蛇に取り付かれたようなのだが・・・? 取り付かれたという2人の状態や、草の中や地面の上を這う蛇などの蛇の描写が強烈だった。映像的に。

◎首
清明の兄弟弟子、賀茂保憲(かもやすのり)が相談事を持ちこんだ。藤原為成が妙な首に憑かれたというのだが・・・。
この話はおもしろかった。首が動くところが、迫力あって、でもどこか戯画的な表現で良い。自分から関わっておいて、いざ核心に迫ると「面倒くさいから、あとはお前やれ」とか清明に押し付けて去っていく保憲のキャラがおもしろかった。

◎むしめづる姫
橘実之の娘、露子姫は蟲好きで有名だった。ある時、黒い烏毛虫(かわむし=毛虫のこと)を捕まえたのだが、これがまた異様で・・・。
ううう、虫嫌い〜(><。 この「むしめずる姫」というのは有名な人。ナウシカが「虫愛ずる姫」と呼ばれるのも・・・。古典文学や文献に書いてあるものを、夢枕獏が書き直して創作した話だと思う。さなぎが孵るシーンなど、ある意味ものすごくファンタジックだった。

◎呼ぶ声の
誰もいない桜の木の下で琵琶を奏でる伊成を呼ぶ声がした。それから夜ごとに伊成を訪れるようになったものの正体は・・・
冒頭の、伊成が琵琶を奏でるシーンがものすっごくきれいだった!桜の花びらがひらひら舞い、琵琶の音が響く。場面がビジュアル的にキレイという以上に、文章の表現が素敵だった。こういう文章表現力は、明らかに翻訳書には無い魅力だ。日本人の本を読むと、翻訳者は作家ではない、と思い知る。

◎飛仙
疝気に効くといって貰った薬を飲んでから、藤原友則の娘に変調が起きる。高いところから飛んだり、体中をかゆがったり・・・。それと前後して、宮中でも妖のものが目撃され・・・。
わーーー!!なんて気持悪いっ!(><)だから私は虫は嫌いなんだってば!ぎゃー!娘の変調を清明が治すところ、読んでいたらリアルに想像してしまって悪夢だった。ああ、思い出したら、また体が痒くなってきた〜