初ものがたり

<収録作品・内容紹介>
『お勢殺し』『白魚の目』『鰹千両』『太郎柿次郎柿』『凍る月』『遺恨の桜』
鰹、白魚、鮭、柿、桜・・・・。江戸の四季を彩る「初もの」がからんだ謎また謎。本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」こと岡っ引きの茂七が、子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む。夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司屋の親父、霊力をもつという「拝み屋」の少年など、一癖二癖ある脇役たちも縦横無尽に神出鬼没。人情と季節感にあふれた時代ミステリー・ワールドへご招待!

<感想>
岡っ引きの茂七を主人公にした連作短編で、緩やか繋がりながら1冊でひとつの物語になっている。NHK金曜時代劇で茂七の事件簿ふしぎ草紙というタイトルでドラマ化されたらしい。確かに、非常に映像的でドラマにしやすそうな話が多い。どの話も食べ物が美味しそう。「富岡橋のたもとの稲荷寿司屋」の稲荷寿司、すいとん汁に蕪汁、桜餅、白魚、鰹の刺身、柿羊羹・・・。五感に訴えてくるような描写力。