『途中の家』(エラリー・クイーン)

<内容紹介>
ニューヨークとフィラデルフィアの中ほどにあるあばら家で殺人事件が起った。エラリイの手腕で被害者の男の意外な事実が暴露された。つまり彼は二つの町に妻を持つ二重結婚者だったのだ! 二人の妻はその名誉と潔白を賭して法廷に立つことになる。自選ベスト3に選ばれた、読者への挑戦状を付す迫力篇。

被害者が二重生活者という設定が面白い。タイトルの『途中の家』は、2つの生活を「着替える」時に使っていた小屋のことで、そこが犯行現場だったというわけ。見ず知らずの他人どうしが、被害者を通じて最悪の形で知り合って、対立したり親しくなったりしながら、真相を探していく。ただ、重要キャラが弁護士だという設定上、ストーリーの大半は裁判所が舞台なので、慣れるまでは裁判シーン独特の回りくどい会話がめんどくさかった。