獣の奏者 : 1)闘蛇編 2)王獣編

内容(「BOOK」データベースより)
リョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すが―。苦難に立ち向かう少女の物語が、いまここに幕を開ける。

やー、久しぶりに物語世界にどっぷり浸った。面白かった。
架空の世界の、架空の獣の物語なのに、細部まですごく丁寧に描きこまれていて読み応えがあった。いつも思うけど、この人の書く世界がよくできていること!このリアルさはもう異常だと思う。さすが文化人類学者だけあってそちらの方面の知識が豊富で、現実のものと架空のものを織り混ぜて見せるのが本当に上手なんだなと思った。

同じ作者の守り人シリーズが、作中に出てきた料理を集めたお料理本まであるような超リアルな世界で、だからこそファンタジー的な要素も違和感なくリアルに感じられる。

今回は出てくる動植物が細かいところまでいちいちリアルだった。王獣や闘蛇と混ざって、蜂という実際にいる生き物の生態が描かれるところなんて、上手だなーと思う。
なのに読んでいて、闘蛇と王獣の姿形がいつまでも曖昧のままだったのはなぜ?描写はあちこちにあるのに、私の中では確たる姿形が最後まで曖昧なままだったのが自分で不思議。しっかり読み込んだら見えてくるかしら、と思いつつ・・・・3&4巻も楽しみ。

<参考リンク>
上橋菜穂子:川村学園女子大学 教育学部 児童教育学科教授
「長老」たちの変容 : 地方都市に暮らすアボリジニの事例から(上橋菜穂子)*リンク先からpdfで本文読めます
Lecture :特徴的な講義にズームイン「現役のファンタジー作家が教える児童文学の魅力と可能性」