Zinnia読了

ジェイン・キャッスルの花の名前をもつヒロインの恋と冒険を描いた花シリーズ。2作目のヒロインはジニア・スプリング、対するヒーロー役はニック・チャステインというカジノのオーナー。地球と連絡の取れなくなった惑星セント・ヘレンを舞台にしたSFロマンス。ここでは全ての人が、能力そのものを持つ「タレント」か、それを媒介する「プリズム」いずれかの超能力を持っている。
 スキャンダルに巻き込まれたせいでインテリア・デザイナーとしてのキャリアを失って以来、ジニアは自分のプリズムの能力を使う仕事を請け負って暮らしていた。カジノのオーナー、ニック・チャステインに雇われてカジノに出向いたジニアは、そこに異常なほど強いマトリックス能力の持ち主がいるのを感じる。マトリックス能力は、計算する、パターンを読み取るという力の性質から、変質的で孤独で秘密主義の人と思われている。しかも数が少なく、高ランクの能力者は皆無のはず・・・。ジニアはニックから、父親の日記を探すのを手伝って欲しいと言われるが・・・。

どんなに色々複雑に言ってみても、要するにこれはジニアとニックのロマンスの話で、ニックの父の日記を探す過程で色々な陰謀や、二人の過去と現在が明らかになり、顔見知りから協力者へ、恋人、婚約者へと進展していく。家族や親族たち、友達や仕事仲間など色々な人が登場して、二人に協力したり邪魔をしたり、じつは敵の黒幕だったりするわけだ。

前半はとにかく二人がお互いを理解できなくて、不快な不協和音を奏でるのをうっとおしく思いながらしぶしぶ読んだ。が、後半に入ってから徐々にテンポ良く話が転がり始め、最後の150ページほどは波に乗って一気に読めてとても楽しかった。犯人についてはパターンだなとは思ったが、色々な問題全てにしっかり結末とオチがついてハッピーエンドになるのは気持ちが良い。

それからまぁどうでもいいことだが、SF設定のわりに小道具が現代風すぎるのがもったいない。せめて留守番電話の代わりにテレビ電話とか3Dホログラフィの電話でも出せば、一気にファンタジックでSF風になるのに。普通に箱型のエレベーターではなくて、壁なしで透明の昇降版にするとか・・・。
現代社会+超能力=花シリーズの舞台 という公式があるんだろうか。