Different Seasons

スティーブン・キングの中篇集で、春夏秋冬の4つの別々の話が収録されている。邦題は『恐怖の四季』。今回読了できたのは「春」と「秋」の2作。

<収録作品>
◇Rita Hayworth and Shawshank Redemption ・・・『ショーシャンクの空に』の原作
◇Apt Pupil ・・・『ゴールデン・ボーイ
◇The Body ・・・『スタンド・バイ・ミー
◇The Breathing Method ・・・『マンハッタンの奇憚クラブ』


◎Rita Hayworth and Shawshank Redemption ・・・『ショーシャンクの空に』の原作
<STORY>
妻とその愛人殺しの容疑で終身刑の判決を受ける、銀行マンのアンディ。無実の罪ながら投獄されるが、決して希望を捨てず、自由を得られる明日を信じ続ける。一方、古株の囚人レッドはそんなアンディに、「刑務所で希望をもつのは禁物」だと忠告する。アンディとレッドの友情を中心に、ショーシャンク刑務所で生きる男たちのさまざまな人間模様を描いていく。

<REVIEW>
この話は、独特の毒と味のある主人公レッドの一人称でずっと続いていくので、彼のキャラクターと語り口が好みの分かれ目だと思う。人によって、ツボにはまればとても楽しめるだろうけど、私はダメだった。語彙の問題で分からなかったという以前に、レッドの言葉の表現がうざったくて最初から最後まで話に乗れなかった。ストーリーは分かったけれど、よく言われるように結末で感動したということもなかった。英語の文章が難しいわけではないので、普通に読めば5W1Hをつかむことはできたが、やっぱり語り手のレッドというキャラがある程度理解できないと、この話を楽しむのは難しいように思った。


◎The Body ・・・『スタンド・バイ・ミー
<STORY>
行方不明だった少年の事故死体が、森の奥にあるとの情報を掴んだ4人の少年たちは、「死体探し」の旅に出た。その苦難と恐怖に満ちた2日間を通して、誰もが経験する少年期の特異な友情、それへの訣別の姿を感動的に描く表題作は、成人して作家になった仲間の一人が書くという形をとった著者の半自伝的な作品である。後に映画化されたが、原作の一卵性双生児のようなそのでき映えに、世界中が賛辞を贈った。

<REVIEW>
主人公がGordie、それと仲のいいのがChris、クレイジーなのがTeddyで、太った子がVern。仲の良いこの4人で、まるでキャンプかピクニックに行くかのように、死体を見に行くという内容。話はまったく映画『スタンド・バイ・ミー』のままで、違いは会話部分や場面が多少本の方が詳しいという程度。
この話は映画のイメージにかなり助けられたのだと思うが、ショーシャンクと違ってわりと楽しんで読めた。ゴーディの語りに引き込まれてちゃんと話に入って行けたので、少年同士の会話のおもしろさに気がつく余裕もあったし。ほろ苦さと懐かしさが漂うような結末も良かった。けれど、語り手とその3人の友達がどういう家庭の出身で、どういう人間なのかが浮き彫りになっていく話なので、これも好みの別れる話だろうと思った。