陰陽師 : 瘤取り晴明

平大成(たいらのおおなり)と中成(なかなり)の双子は、都では有名な薬師だ。彼らには頬にひとつずつコブがあった。ある日、薬草を採りに山に入った大成は道に迷い、偶然鬼たちの遊宴に遭遇してしまうが、命がけで舞い踊った大成は鬼たちに許されて、邪魔なコブを取ってもらう。しかし、鬼たちは彼に半月後、もう一度踊るよう強いる。双子の危機を知った「陰陽師」晴明と博雅は、鬼たちのいる山へと潜入するのだった。

昔話「こぶとりじいさん」の夢枕版パロディ。これは夢枕獏の公式ホームページで連載された話で、ずっと陰陽師シリーズのイラストを担当していた村上豊とふたりで、「本文と絵が等分に入った物語」をやりたいと思って作った本だそうだ。民話調でほのぼのしていて、なかなかよかった。「こぶとりじいさん」では「良いおじいさん」と「悪いおじいさん」が隣同士に住んでいる設定だったと思うけど、この『瘤取り清明』はふたりが兄弟という設定。和風の絵が、文章と合っていていい感じ。話自体は短いが、フルカラーのイラストが沢山入っているので値段的にはいいところだろう、と思った。