Dark Lord of Derkholm

翻訳≫ダークホルムの闇の君
魔法使いダーク(Wizard Derk)の世界はここ40年、ずっと荒廃しつづけている。チェズニー氏の巡礼団(Mr.Chesney's Pilgrim Parties)―チェズニーが計画実行している旅行の団体ツアー、冒険を求めて隣の宇宙からやってくる客のせいで。
温厚な魔法使いダークが、今年の闇の君(Dark Lord)の役をすることになった。チェズニーは、のんびりした田園風景が広がるダークの地所を、不吉な炎が燃え上がる暗黒の迷宮の城に変えろと言う。魔法使いダーク自身も、燃え上がる赤い目を持った3メートルもの影のある「暗黒の帝王(Dark Lord)」に姿を変えろと。魔法使いダークとその家族や仲間たちは、これを最後にチェズニーのツアーを終わらせることが出来るのだろうか?

主人公はブレイド(Blade)という14才の少年で、父親の魔法使いダーク(Derk)が「暗黒の帝王(Dark Lord)」に選ばれたことから、家族全員がツアー客への対応に巻き込まれていくという話。出かけたまま家族をほったらかして帰ってこない母のマラ(Mara)、音楽が命だと言っていつも楽器を弾いている姉のショナ(Shona)、ダークが交配して作った人間と同じように個性的な5人のグリフィンたちを中心に、エルフやドワーフ、しゃべる馬たちなど色々なキャラが出てくる。ブレイドとキット(グリフィン)の二人のコンビが一番印象的だ。

この本は、エンターテイメント、娯楽作品だと思う。今回の敵であるチェズニー氏(Mr.Chesney)はディズニー(Desney)のもじりなのだそうで、そう言われてみると作り物のわざとらしさといい、「闇の君」の役を演じるというバカバカしさといい、確かにディズニーランドそのもの。この人を食った皮肉たっぷりの設定、RPG的な世界をわざと真似ているような小道具、キャラ、魔法。パワーがあって飽きないが、『九年目の魔法』のような深みはまったくない。続々と色々なもののパロディが出てくる軽いノリ。ゲームや、ご都合主義の異世界を舞台にしたライトファンタジーをあえて気取っているようだった。あからさまに『指輪物語』なドワーフ、魔法使いがあちこち遠方へ突然「転移」するのはゲームか漫画を連想するし。そもそも隣の宇宙から来る団体のツアー客のせいで世界が荒廃している、という基本設定そのものが、なんとも言えずバカバカしさと皮肉に満ちている。

・・・前半はストーリーに乗れなくて、もうだめかと何度か思った。今までに読んだDWJの本はみんな独特の世界観があったので、焼きまわしの匂いがたっぷりのこの本にはガッカリしてしまった。いや、これも確かに一種独特ではあるんだけれど。でも後半は話がどんどん広がっていくのが結構おもしろくて、あっという間に読んでしまった。主人公のブレイド少年は誘拐までされてしまうし、盛り沢山で最後まで賑やかな話だった。さすがDWJ、かな。

<主要キャラクター>
Derk ・・・=Dad Oracleによって次のDark Lordに指名された
Blade ・・・Derkの息子 skinnyな14歳の少年
Shona ・・・Derkの娘、Bladeの姉 Bardic Collegeの学生
Mara ・・・=Mum Derkの妻、Blade&Shonaの母

Kit  ・・・Griffin 15歳 ボス的存在 Bladeと一番仲がいいらしい
Elda ・・・Griffin 頭の回転が速いらしい
Don ・・・Griffin
Lydda ・・・Griffin 「本当に料理が好きな唯一のグリフィン」
Callette ・・・Griffin

                                                      • -

Querida ・・・High Chancellor ヘビばーさん
Barnabas ・・・vice chancellor of University
King Luther ・・・寒い地方の国の王様らしい
Umru   ・・・High Priest

Mr.Chesney ・・・敵


<関連本>
Year of the Griffin(続編 8年後の設定) ≫レビュー
The Tough Guide to Fantasy Land (副読本、用語集)