水琴館の惨劇―銀猫堂奇譚

内容(「BOOK」データベースより)
不安は猫をも殺す。恐怖への不安は、不朽の魂を持つ猫さえ殺してしまうものです。そう、この水琴館に秘められた水琴窟の音色に惹かれて気のふれた人たちが集まってきます。それは地中から涌き出る恨みの音。館を彩る狂い咲きのベラ・ドンナの花びらをもうご覧になりましたか?別名ルビ・ドレ、きちがい花とも呼ばれる魔性の魅惑を持った花です。今まさに御影家に伝わる惨劇の幕が開きます。そしてそこに訪れたのが、愛猫家にして『春画の女王』とも呼ばれる銀猫堂主人・星ゆらら。姿は男性なのですが、実は絶世の美男子とも見える女性。早くも、ワインを手にした奇行の主、御影芳郎がばたりと倒れました。惨劇の目撃希望者はまだ間に合いますよ。

<感想>
うん、私は嫌いじゃないです。殺人事件があって、大きな謎があって、それを解明する話だから「ミステリー」で間違いでは無いんだけど、いわゆる本格ミステリーが好きな人にはかえって向かなそうな、変わった雰囲気の話。耽美というか・・・じね好きで猫好きで、かつミステリー(謎)が好きなら向いているかも。謎の解明以外の部分が、かなり修飾が多くて・・・綺羅綺羅しい。詩的で散文的だし。猫は最初から最後まで出っぱなしで、なんと彼らがメインテーマだったりする。

カップリングと犯人はわりと早くわかった。まぁ直感に近いけど、状況を考えるとあの人しか居ないし。猫のブリードの話と、人間の血筋の話が重なっていくところがすごかった。一種異常な世界なんだけど、作者は有名な猫のブリーダーだそうで、その知識に裏付けられた迫力があった。