Year of the Griffin

Dark Lord of Derkholmの時に言ったかどうか覚えてないけど、私は実はこの2連作が好きじゃなかったりする。(他の作家作品に比べると)ストーリーは面白いと思うから感想を書くと良い評価になってしまうし、後半の追い込みはやっぱりすごいし面白いし、積極的に嫌いなわけではない。けど、DWJの作品にランキングを付けると最低になってしまう程度には苦手。

理由はいくつかあって、そのひとつは冗漫で中途半端な感じがすること。Dark Lord〜では観光客とかツアー旅行に対しての皮肉があったし、Year of the Griffinはあからさまに大学に対する皮肉を表現している面がある。・・・そういうピリッとした皮肉・批判は非常にイギリス人らしくて、ジョーンズさんの一面が現れてるんだろうと読みながら思う。
でも、そのせいでストーリーに色々な要素がありすぎて、(ファンタジーとしての)焦点があいまいで散漫な感じがするわけ。先生と生徒の対立と交流を描きたいのは分かるけれど、先生が誰々はCマイナス、誰それはD、等と何ページにも渡って延々と悩みながら成績をつけるシーンなんて、うざくて投げ出しそうになった。そういう散文的な場面がずーーっ続いて出来上がってる話なので、ストーリーに入れないと結構キツイものがある。
まぁ、このシリーズが好きな人たちは、そこが良いんだ!と言うだろうし、私だって日本語でサラサラと読んだら軽くて面白いと思うかもしれないから、こんなのは単純に好みと気分の問題だけどね。

もうひとつは、決定的に魅力のあるキャラ、強烈なキャラが居ないこと。ちょっと変わった人物は沢山出てきても、誰も彼もみ〜んな類型的でありがちなキャラクターを抜け出せていない。これは!というヒーローもヒロインも居ない。
DWJの作品群を色分けすると、これはデイルマークと同じ(キャラではなくて)世界そのものが主役の話、ってことだと思う。うーん、デイルマークの世界には深さと広がりを感じるんだけど、このダークの世界はねェ・・・なんだか、行き当たりばったりな感じがしてどうもねー・・・。