Ransom 読了

スコットランドを舞台にしたレディ・ジリアンとブロディック・ブキャナンのヒストリカルラブロマンス。
幼い頃家族を亡くし、イングランド北部に住むおじに育てられたジリアンは、14年たったある時、自分の父親を殺したアルフォード男爵に呼び出される。ジリアンの父親が保管していたという「アリアンナの宝石箱」を見つけるために、スコットランドに逃げたジリアンの姉を探し出せというのだ。誘拐されたスコットランドの領主の息子アレックと連れ立って、北へ向かって旅をするジリアン。まずはアレックのおじだというブロディック・ブキャナンの保護を求める・・・・。ジリアンは、アレックを無事に両親の元に届けることができるのか? イングランド王の恋人だった、亡きアリアンナの宝石箱の行方は? 野蛮人揃いと有名なブキャナン領の頭ブロディックと、純なお嬢レディ・ジリアンのラブ・ロマンスの行方は・・・・。

うーん、おもしろかった。レディ・ジリアンは話の中で強情だわからずやだ、意志が強い等と言われるのだけど、ジェイン・キャッスル(ジェイン・アン・クレンツ)やダイアナ・ウィン・ジョーンズのヒロインに比べたら、もうぜんぜん素直でストレートな可愛い女性。二人とも素直なキャラなので、ロマンスの方は実はさっさとまとまってしまう(笑)。そのまとまった二人が「アリアンナの宝石箱」と政変に振り回されるという筋。

ロディック・ブキャナンはすごくクセのある確かに「野蛮な人物」。でもジリアンが、何故か彼にぞっこんに惚れ込んでいて、それがもう可愛くてしょうがない!ブロディックの言動は問題ありの部分も多々あるけれど、ジリアンがとても幸せそうなので、もう万事オッケー!と思えてしまった。(^^; 正しく、割れ鍋にとじ蓋。たで食う虫も好き好き、というお話。この二人を中心に、ブロディックの友だち、家族、恋人たちが絡んで、謎の解明に向けて話が進む。

戦いのシーンも印象的だった。戦いというと馬と剣と甲冑と弓の世界なので、絵に描いたようなシチュエーションがあちこちに散らばっている。そういう舞台設定の楽しさと、謎解きとロマンスが上手くミックスしていて、最後まで楽しく読めた。ジュリー・ガーウッドはこの本と同じ場所を舞台にした本を他にも書いているそうで、Ransomでは脇役として登場した人たちを主役にした本もあるというので、探して読んでみたい。

<登場人物>
レディ・ジリアン(Lady Gillian)・・・主人公
ロディック・ブキャナン(Brodick Buchanan)・・・スコットランドの領主

スコットランド
ラムジー・シンクレア(Ramsey Sinclair)・・・スコットランドの領主、ブロディックの友達
イアン・メイトランド(Iain Maitland)・・・スコットランドの領主、ブロディックの友達

アレック・メイトランド(Alec Maitland)・・・イアンの息子、イングランドに誘拐された少年
ジュディス・メイトランド(Judith Maitland)・・・イアンの妻、アレックの母
ブリジット(Bridgid)・・・ラムジー・シンクレアの領土に住む女性、ジリアンの親しい友人になる

イングランド
アルフォード男爵(Baron Alford)・・・ジリアンの父を殺した人
キング・ジョン(King John)・・・イングランド王、アリアンナの宝石箱を探している。


<関連本>
The Secret ・・・ジュディスとイアン・メイトランドの話