The Secret

13世紀のスコットランドを舞台にしたヒストリカル・ロマンス小説。ジュディスとフランシス・キャサリンは幼馴染みの親友。スコットランドのメイトランド領主イアン・メイトランドの弟パトリックと結婚したフランシス・キャサリンは、出産に際して親友のジュディスをイングランドから呼び、ぜひとも出産に立ち会ってもらいたいと願う。渋々敵国イングランドへ迎えに来たイアン・メイトランドはジュディスと惹かれあっていくのだが、ジュディスには身内以外にはフランシス・キャサリンしか知らない、大きな秘密があった。その秘密とは・・・

おもしろかった!やっぱりヒストリカルはおもしろい!歴史ものというのは、背景が事実に基づいている分、ファンタジーやSFよりも想像しやす気がする。Julie Garwoodの英語は読みやすいのでストレスがないし、主人公たちのロマンスや舞台背景を純粋に楽しめた。続編にあたるRansomを先に読んでいたせいもあって、話に抵抗なく入り込めた。

主人公ジュディスとイアンのロマンスは実はわりとベタだけど、それよりも中世のスコットランドという世界が詳しく描かれていたのが良かった。イアンというメイトランドの領主と結婚するとは、騎士たちとその妻たちと同じ町に暮らすとはどういうことなのか。最初メイトランドに来た時はヨソ者扱いされていたジュディスが、彼女自身は自然体のままなのに、色々な事件や出来事を経て、徐々に受け入れられて周りの人を魅了していく。結婚して正式に「領主の妻」になってからもイアンとのすれ違い、フランシスや他の妊婦たちの出産の介助などを経て、メイトランドという閉鎖社会そのものが少しずつ変わっていく・・・そういうのが丁寧に描かれていたのがとてもよかった。歴史ものなんて難しそう、と抵抗のある人にこそ読んでみて欲しいロマンス小説!

<登場>
イアン・メイトランド(Iain Maitland)・・・メイトランドの領主
ジュディス・メイトランド(Judith)・・・イングランド人女性

パトリック・メイトランド(Patrick Maitland)・・・イアンの弟
フランシス・キャサリン(Frances Catherine)・・・ジュディスの親友

ロディック・ブキャナン(Brodick Buchanan)・・・スコットランドの地方領主

<関連本>
Ransom・・・Brodickとイングランド人女性ジリアン(Lady Gillian)とのロマンス。The Secretから8年後の設定。