The Christmas Mystery

日本語訳:『アドヴェント・カレンダー』
原題:Julemysteriet
11月の終わりの日、ヨアキムは小さな本屋で色あせた美しい手作りカレンダーを見つけた。12月1日から24日までの「アドヴェント・カレンダー」だ。カレンダーの小さな扉を毎日ひとつずつ開けていくと、そこには謎の絵とひとりの少女の不思議な物語が隠されていた。デパートのおもちゃ売場から逃げ出した小羊を追って、少女は時間と空間の旅に出る。驚きと出会いが連続する旅の終わりはいったいどこに。(*英訳本で読みました。)

おもしろかった!この本で一番気に入ったのは、バランスがいいこと。
クリスマス関連の物語は沢山あるけど、実は個人的にはハズレがかなり多い。貧乏や死などの不幸話が話のメインだったり、「心暖まる」のを通り越してワザとらしかったり、逆にグリシャムのスキッピング・クリスマスのように俗っぽくてバカバカしくて話に乗れなかったり。
でもこのノルウェイ作家ゴルデルのクリスマス本は、そのあたりのバランスがすごく良かった。本当のクリスマスとは何か、神とは。キリスト教とヨーロッパの2千年の歴史、ハーメルンの笛吹き男、セント・ニコラウス(サンタクロース)の話。ある不幸とクリスマスの奇蹟、ノルウェイの幸せな一家庭の12月の風景・・・・そういうものを交互に描いて行って、気がつくと「そうか、クリスマスってこういうものだったのか」と納得できる、そんな本だった。
笑えるシーンもあって、天使が出て来たと思ったら"Fear not ! Fear not ! Fear not !" と叫んで蜂のようにブンブン飛び回って、先輩の天使(笑)に叱られたりするし。天使や賢者がポツポツと語るメッセージが、とても分かりやすいのも良かった。こういうバランスの良い本は、だからこそダメな人もいるだろうけど、私は好き。面白かったです。

"Look at all the lovely wild flowers !" she said.
"They are part of the glory of heaven that has strayed down to earth. You see, there's so much glory in heaven that it can easily spill over."(p75)

"Every person on earth is a unique work of creation."(p93)

"Christmas is the world's biggest birthday party, for everybody in the whole world is invited to join in. That's why the party has lasted for so many years."(p103)

"Jesus wanted to teach people to help one another when any of them needed it. And then there would have been peace. For peace is the message of Christmas."(p163)