A Little Love Song

翻訳≫『イングリッシュローズの庭で』
<内容>
戦禍のロンドンから、海辺のコテージ「千鳥荘」に疎開してきた、上流階級の姉妹ローズとダイアナ。この千鳥荘には「狂人ヒルダ」と呼ばれる女性が住んでいたせいで、疎開者が居着いたためしがないという。妹のローズは偶然から、ヒルダの持ち物がしまいこまれた小部屋に入るカギを見つけ、ヒルダの日記を読み始めた。そこには、戦争と家族の犠牲になった、一人の聡明な女性の生涯が克明に記されていたのだった。そして、ヒルダの秘密が、ローズの人生にも大きくかかわり始め…。世間からさげすまれている未婚の妊婦ドット、書店の主人アレク、近所に住む親切なクラレンス夫人など、さまざまな人々との交流を通して、淑女のお手本のような姉ダイアナも、自由な精神の持ち主ローズも、真実の愛、そして、人生の目的を見いだし、大きく成長していく。英国の海辺の町を舞台に、少女たちの愛と成長を軽快な筆致で描く。

う〜ん、まぁまぁだった。私は勝手に明るい話だと思っていたのだけど、読んでみたら戦争の影が濃い、悲劇がいっぱいの暗い話だった。夏の海辺、花と緑でいっぱいの庭という明るい光景の中で語られる悲恋、未婚の母と私生児、戦争、死。文学作品として興味深いとは思うけれど、私はこういうのは好きじゃない。途中から嫌になって、1日かかって無理やり最後まで読んでしまった(そうでもしないと絶対に投げ出してしまうから)。
ローズの一人称で語られる恋の悩みや自分の容姿をいろいろ言う所は、新井素子風に「しかたないわよね、あたしって美人じゃないし。ほら、醜いアヒルの子ってやつ?」みたいなノリ(翻訳はどうか知らないけど、内容が)。そういうローズの恋と夢と成長が描かれる一方で、舞台が第二次世界大戦中なので、国全体で戦争をしている様子が語られる。配給制があって、(ローズやダイアナの恋の相手である)青年たちはもちろん、ローズたちも志願して軍の仕事に着くことになる。ローズの精神的な成長の物語というよりも、ローズの目を通して当時の様子を描くことの方が主目的のように思えた。ああ、終わってホッとした。