Ereth’s Birthday

Erethは性格も体もトゲだらけのヤマアラシ。その日はErethの誕生日だったのに、大親友のネズミのPoppyでさえ覚えてもいなかった。なんてひどい!怒ったErethは誕生日のプレゼントを自分で見つけるために、大好きな塩を探しにDimwoodの森の奥へと出かけて行った。Erethの後ろ姿に忍び寄る影。誰もいないと思っていた人間の小屋には明かりが灯り、その近くの罠に捕まって死にかけていたのは・・・・。

今まではずっとネズミの話だったが、この話はErethが主人公。Erethは今までにも何度も出てきた、向かう所敵なしの唯我独尊の気難しいヤマアラシ。草食動物のErethが、行きがかり上、肉食の仔ギツネを育てることになる話。動物とその生態を描いているようで、動物たちが色々な人間の性質をよく表しているのに驚く。Erethも、「天敵」も、キツネたちも、読みながら「いるいる、こういう人!」と笑ってしまった。特にErethの素直じゃないところがなんとも愛らしい。キツネたちがErethに反感を持つくだりもよかった。

これでDimwood4部作を読み終わってみて、このシリーズは色々な動物が出てくるところが良いんだなとつくづく思った。読んでいると、町の中、空家、川のほとりや森の中に住むネズミ、猫、フクロウ、ヤマアラシ、ビーバー、キツネなどの生活が自然に分かってくる。動物の生態についての知識がないと書けない本だ。読んでいて一番楽しかったのは最初の話Ragweedだ。それ以後、私は一定のパターンが見えてきてわざとらしかったり、もの足りなかったりしたけど、子供向けの児童書としてはよく書けた話だったと思う。最後まで読めてよかった。