Equal Rites

翻訳:魔道士エスカリナ

内容:
宇宙を泳ぐ巨大な亀。その甲羅に乗る4頭の象が支える円盤世界「ディスクワールド」で繰り広げられる、魅力あふれるファンタジー。男しかなれない「魔法使い(Wizard)」になる運命の星の下に生まれた女の子エスカリナの物語。
死を間近にした魔法使いのドラム・ビレットは、自分の力のすべてを託すべき「八番目の息子の八番目の息子」を探して、ラムトップ山地の谷あいの村の鍛冶屋を訪れていた。鍛冶屋のスミスは八番目の息子で七人の息子を持ち、その日まさに「八番目の子供」が生まれるところ。ドラム・ビレットは生まれたばかりの赤ん坊に魔法の杖を託して死ぬ。生まれた「八番目の子供」は女の子だったのだが・・・・・・。気がついた頃には時すでに遅し、もう取り返しがつかなかった。
こうして、生まれたと同時に「魔法使い」になるべく運命づけられてしまった少女エスカリナがディスクワールドを駆け回る冒険の物語。同じ村に住む「魔女(Witch)」の師匠グラニー・ウェザーワックスと共に魔法使いの大学Unseen Universityの扉をたたくエスカリナだったが・・・。

感想:
ストーリーは、前半がエスカリナの誕生〜幼少時代のエピソード(兄をブタに変えちゃう所がおもしろかった)、中間部は8歳になったエスカリナがグラニーと共に「めざせUnseen University」の波乱つづきの道中記、後半は大学に入り込んだ2人が、色々あって、やがて魔法使いたちに認められるという流れ。エスカリナとグラニー2人を交代で追いかけながら話が進む。
最初、内容紹介を見て大学生活が中心になるのかと思っていたけど、そうじゃなくてこの本はエスカリナが魔法使い大学入学希望に至るまでの流れと、入学以前のゴタゴタが話の主題だった。分かりやすく言うと、エスカリナは伝統ある男子校に「入学させろ」とムリムリねじ込んで行く格好なわけで、だから「入学を許可する」ところで終り。The New Discworld Companionによれば彼女は「Unseen Universityに入学を許可された最初の、そして記録に残るかぎり最後の女性」なのだそうな。

【The Amazing Maurice〜】は舞台がある一つの町に固定されていたのに比べて、本書はエスカリナの移動が多かったのが印象に残った。話の規模が大きいというか、一つの町にとどまらずに村から町へ、大都市へ、山から川へとどんどん移動して、果ては宇宙に飛び出してディスクワールドを外から眺めてしまったりする。想像しきれなくて消化不良のところもあったけど、ディスクワールドの設定や大きさ、深さを感じられたのはよかったと思う。本当にすごい世界だ!
ラニーがとってもよかった。エスカリナのハチャメチャな突き抜け方も好き。ダイアナ・ウィン・ジョーンズの女性キャラに通じるものを感じてしまった・・・。グラニーは(魔女シリーズの)別の本にも出ているそうなので、そちらも読んでみたい!