Only You Can Save Mankind : Johnny Maxwell Story 1


内容:
ディスクワールドシリーズ外の児童書、ジョニー・マックスウェルシリーズの1作目。テーマはコンピューターゲーム
主人公の少年、ジョニー(ジョン)・マックスウェルは12歳。ゲームオタクの級友Wobblerに借りたシューティングゲーム"Only You Can Save Mankind"(人類を救えるのは君だけだ)をプレイしている最中、いつも通りエイリアンの宇宙船を攻撃しようとしたところで、突然画面上にエイリアンたちからのメッセージが現れて仰天する。

"We wish to talk."(話がしたい)
"We surrender! PLEASE!"(降伏する!お願いだ!)
"Do not shoot!"(撃たないでくれ!)
"We want to go home."(私たちは自分の星に帰りたいんだ)

なんだって? エイリアンが話しかけてくる? こんな展開は攻略本に書いてないぞ!
妙な具合にゲームの世界に「はまり込んで」しまったジョニーは、敵であったはずのエイリアンたちを助けるため、世界中のゲームプレイヤーを相手に孤軍奮闘する羽目になる。「大丈夫さ、これはただのゲームなんだから。そうだろう?」
・・・本当にそうだろうか?

感想:
敵(エイリアン)の宇宙船を打ち落とす3Dシューティングゲーム・・・スペース・インベーダーの豪華版みたいなゲーム?で遊び始めたジョニーが、その世界に入り込んでしまい、紆余曲折の末にゲームをクリアするまで。ゲームの世界をリアル体験するという「夢」をそのまま形にしたような話。
同時に、バランス良く現実世界のこと・・・Wobblerを始めとする主人公ジョニーの友人たちや学校での話、宿題、両親の離婚問題なども描きながら、ジョニーは現実とゲームの世界を軽々と行ったり来たりする。その軽さとバランス感覚の良さがとても楽しくて、安心して読める児童書だった。また、これは「機械の前でゲームをする話」じゃなくて「ゲームの世界を体験する話」だから、特にゲームが好きでなくても大丈夫だ。
いちおう宇宙が舞台だからSFなんだろうけど、ゲームの世界だから宇宙船の操縦桿はジョイスティック! ジョニーにエイリアンの言語が即座に理解できてしまったりして、それを「だってこれ、ゲームだからさ」とか自分でツッコミ入れてるのに笑ってしまった。
ゲーム好きな少年が遊んでる夢の話、現実世界ではちょっとばかり幸薄いジョニーが、ゲームの世界でヒーローを演じ切って、少し元気を取り戻したところで現実に戻る話とも言える。短くて軽い本だからディスクワールドもののように大作ではないのだけど、この肩の力が抜けたような感じが楽しかった。作者自身も楽しんで書いたんじゃないかなぁ。