Mort

翻訳:死神の館

内容:
農家の息子に生まれた少年モーティマー、通称モート(Mort)。父Lezekはモートが不器用なのを心配して農業をやっていくのは無理だと判断し、他の奉公先を探して雇ってもらおうと、街の市(hiring fair)へ出かける。
"But what happens if I don't get prenticed?"
"I don't know. ... I expect you just wait until the end of fair. At midnight. I suppose."(p.7)

・・・そして真夜中。モートを弟子(Apprentice)にしようという雇い主はついにひとりも現れないまま、日付が変わろうとしていた。その時、馬に乗った背の高い影、死神(Death)が近づいて来る。モートは死神の申し出を受け入れて、その弟子になることに・・・。
死神の馬に乗せられてやってきた「死神の館」には、死神の他に料理人のアルバート(Albert)と、死神の養女だと名乗るYsabellという少女が住んでいた。モートは死神が仕事に出かける伴をして、死神としての仕事を覚えていく。
しばらく経ったある日。死神は休暇を取って人間の心を学びたいと、死神の仕事をモートに任せて、ご機嫌で下界へ出かけていってしまった。初めてひとりで仕事を任されて緊張気味のモートは、暗殺者に殺されるはずのSto Latの姫、ケリー王女(Keli)の命を救ってしまう。このことによって歴史が大きく変わり、Sto Latを中心にした空間に異常が・・・!

感想:
かなりおもしろかった。今のところ、ディスクワールドの中でイチオシ、最初の本にもおすすめの傑作!
ディスクワールドのあちらこちらに、影のように出没していた死神。猫が好きなことや、恐ろしい外見とは裏腹に意外とお茶目でかわいいヤツらしいことは分かっていたが、今回はその死神(Death)と、その弟子になった少年モート(Mort)が主人公。
もう死神が最高! 死神が死神の仕事を放り出して。人間界でアルバイト?! 再就職先を探すところの「特技・専門分野等はありますか?」と聞かれて、大真面目に答えるシーンに苦笑い。モートも、設定的には正統派のヒーローそのものなのに、どこかズレて抜けたところのある独特のペースを持った性格がいい感じ。モートやケリー王女や、魔法使いたちがそれぞれ各地で大変な時に、ひとり緊張感のない死神が傑作だった。

最後のクライマックス場面では、「そんなのありかー!!」と爆笑。
>>>And then Death turned the hourglass over.(死神は砂時計をひっくり返した)

おいおいおいおい! いいのか?本当にいいのか、それで!? 
もう最高。
それから、本編を読んだあとでThe New Discworld Companionの関連項目("Mort" "Death" "Ysabell" "Sto Lat" "Sto Helit"など)を読んでみたら、その後の情報が色々記されていてかなり楽しかった。この本で出てきた登場人物に、また他の本で会うのが楽しみ。次はGuards! Guards!が読みたいな(MortとYsabellが出てくるらしい)。