Johnny and the Bomb : Johnny Maxwell Story 3


内容:
ジョニー・マックスウェルシリーズ3作目はプラチェット版バック・トゥ・ザ・フューチャー! 少年少女(悪ガキども)が過去から現在を飛び回って歴史を引っ掻き回す話だ。ジョニーとおなじみの友人たち、Wobbler、Yo-less、Bigmacに加えて、今回はKirstyという女の子が仲間に加わる。
ある日、ジョニーたち4人組は昔から街のあちこちに出没するミセス・タキオンと呼ばれる浮浪者の女性が、路地裏に倒れているのを見つける。急いで救急車を呼んだジョニーたちだったが、ミセス・タキオンの全財産を載せたカート(ショッピングカートを補強したようなもの?)が道端に投げ出されているのを見て途方に暮れる。「これはどうする? このままここに置いておくわけには行かないよ」 ・・・話し合った結果、ジョニーが自宅の倉庫に保管しておくことになった。
ところが、間もなくジョニーの家に黒い車に乗った黒服の男たちが現れる。追いかけられたジョニーたちは、ミセス・タキオンのカートに何か秘密があるらしいと察し、お節介でうるさい同級生のKirstyも一緒にカートを押して街へ・・・。カートを押して歩くと周りが霧に包まれ、気がつくと周りの景色が変わっている。ミセス・タキオンのカートは、物理的な移動はカートを押す速度と変わらないが、時間が過去へ、未来へ、願った時間へと自在に行けるタイムマシンだった。
黒服の男たちの車から逃げて、たどり着いた先は1941年、半世紀以上も昔の同じ街。第二次世界大戦中、ジョニーたちの街ではドイツ軍による誤爆事件があり、19人の死者が出たという。歴史に干渉してしまったジョニーたちは、自分たちの存在を消さないためにその爆撃を阻止しようとするのだが・・・。
 「車を時速88マイル以上で走らせてタイムトラベルする映画、見た?」

感想:
タイトルの"Bomb"は、第二次大戦中にジョニーたちの町の「パラダイス・ストリート」を襲った爆弾のことらしい。過去に関わったことで自分たちの存在を危うくしてしまったジョニーたちは、もとの「正しい現在」に帰るために、爆撃を阻止しようと奮闘する羽目に。ドイツ人のスパイと疑われたり、身につけていた最新鋭の時計やラジオを見て怪しまれて警察に追いかけられたり、散々なめに遭いながら、ジョニーの「パラダイス・ストリートの人たちを助けたい」という思いが、友だちを巻き込んで爆走し始める。
戦争や爆撃といったテーマを扱っているせいもあってか、1、2作目よりも全体的にマトモ。1作目はなぜか突然ゲームの世界へ入り込んでしまう話だったし、2作目は街の墓地で幽霊たちが突然騒ぎ始める話だったけど、3作目はまずタイムマシンという説明があって、そして過去に飛んで、きちんと目的を遂げて帰ってくる。非常に分かりやすくて、伏線もあちこちにあって、筋の通ったストーリー展開が印象的だった。1,2巻のように筆の赴くまま大胆に描いたような、羽目をはずした何でもありハチャメチャな軽やかさはなかったけど、本作は完結編には相応しい力作だったと思う。タイムパラドックス、黒服の男の正体には意表を突かれた! 結局ミセス・タキオンが何者かとか、未解決のまま残った謎もあるのだけど、それはまぁ「街の七不思議」ということで納得しておこう。おもしろかったです。