Wyrd Sisters

翻訳:三人の魔女

内容:
ラムトップ山系にあるこじんまりとした王国ランカーに三人の魔女が住んでいた。名前はグラニー、ナニー、マグラート。
ランカー王国のヴェレンス王がフェルメット侯爵に殺され、王の遺児を殺そうとする兵士と行き会った魔女たちは、なりゆきで子供を助けてしまう。トムジョンと名付けられたその男の子は旅の一座の座長夫婦に預けられ、"魔女の贈り物"を得て成長していく。一方、ヴェレンス王は亡霊となって王城に残り、我が子を王位につけようと画策していた・・・。シェイクスピアの「マクベス」「ハムレット」を題材にしたドタバタ悲喜劇。

感想:
おもしろかった。きちんと最後まで楽しめたけれど、他のプラチェット作品と比べると相対的に評価は低いかなという感じだ。
というのは、ストーリー性が弱くて、全体を通して魔女たちがドタバタ駆け回っているだけの話という印象が強いから。【Guards! Guards!】や【Mort(死神の館)】などの独自のストーリーラインが非常にハッキリした作品と比べると、本書はどうも話よりも「パロディやブラックユーモアを楽しむための本」という感じがした。シェイクスピアの「マクベス」と「ハムレット」を始め、「シンデレラ」や「眠り姫」などのパロディにもなっているので、その辺のことに気が付かない人にはわけの分からない話かもしれない。
ただ、私はシェイクスピア関係の原典などはサッパリ分からなかったけれど普通に面白く笑える場面も結構あったし、後半の侯爵と魔女たちの対決が本格的になっていくところからは話に引き込まれて一気に読めた。魔女のひとりグラニーはディスクワールド世界の重要人物でもあるので、シリーズに慣れた3冊目以降あたりに読む分には良いかもしれない。