獣の奏者 : 1)闘蛇編 2)王獣編

内容(「BOOK」データベースより)
リョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すが―。苦難に立ち向かう少女の物語が、いまここに幕を開ける。

やー、久しぶりに物語世界にどっぷり浸った。面白かった。
架空の世界の、架空の獣の物語なのに、細部まですごく丁寧に描きこまれていて読み応えがあった。いつも思うけど、この人の書く世界がよくできていること!このリアルさはもう異常だと思う。さすが文化人類学者だけあってそちらの方面の知識が豊富で、現実のものと架空のものを織り混ぜて見せるのが本当に上手なんだなと思った。

同じ作者の守り人シリーズが、作中に出てきた料理を集めたお料理本まであるような超リアルな世界で、だからこそファンタジー的な要素も違和感なくリアルに感じられる。

今回は出てくる動植物が細かいところまでいちいちリアルだった。王獣や闘蛇と混ざって、蜂という実際にいる生き物の生態が描かれるところなんて、上手だなーと思う。
なのに読んでいて、闘蛇と王獣の姿形がいつまでも曖昧のままだったのはなぜ?描写はあちこちにあるのに、私の中では確たる姿形が最後まで曖昧なままだったのが自分で不思議。しっかり読み込んだら見えてくるかしら、と思いつつ・・・・3&4巻も楽しみ。

<参考リンク>
上橋菜穂子:川村学園女子大学 教育学部 児童教育学科教授
「長老」たちの変容 : 地方都市に暮らすアボリジニの事例から(上橋菜穂子)*リンク先からpdfで本文読めます
Lecture :特徴的な講義にズームイン「現役のファンタジー作家が教える児童文学の魅力と可能性」

ヴィヴァーチェ 紅色のエイ

内容(「BOOK」データベースより)
灰汁色の霧に覆われた地球。16歳のヤンは、最下層地区で暮らしながらも、大きな夢を持っていた。親友ゴドとともに、いつかロケットでこの星から飛び立つという。そう、あの伝説のヒーロー、バシミカル・ライのように。そのころ、海賊に宇宙貨物船が襲われたという報せが、ステーションに入る。しかもその船は幽霊船だという…!?あさのあつこがあざやかに描き出す、少年たちのブレイブ・ファンタジー

最近、ちっとも読書感想を書かなくなってしまったけど、色々読んではいるんだ。で、やっぱり書いておかないと忘れるので・・・なるべく書くようにしようと思う。ひとことだけでも。この本はさっき読み終わったところ。借りて読んだ。
設定は好き。だけど、あからさまに続きものなのに、本のどこにもそう書いてないのはいかがなものか。かなりの長編になるんじゃないか? それと、主役級のヤンとゴドが両方描かれて、場面や話の中の時間がブツブツ切れるので、連続した時間軸上のストーリーと捉えにくかった。それと、私は最後までヤンとゴドがどちらがどちらか混乱したままだった。駄目じゃん私!(^^;

イマイと申します。―詐欺を追いつめる報道記者

内容(「BOOK」データベースより)
「もう電話してくんじゃねえよ!」。悪徳業者の怒号が響き、電話ががちゃりと切られる。だがイマイ記者はひるむことなく、リダイヤルを続ける。奴らがボロを出し、降参するまで。現代日本に蔓延する、架空請求という名の詐欺。その巧妙な手口を白日のもとにさらすため、今日もイマイは、受話器を片手に追及を続ける。日本テレビの人気ドキュメントを収録した、執念と笑いの激闘録。

30分ほどで斜め読み。内容は架空請求振り込め詐欺などについての報道番組の内容が本になったもの、かな? メールやはがきで来た架空請求について調べていって、連絡先に延々と電話をかけ続けるイマイ記者。脅されても、相手に電話を切られても、何を言われても延々とリダイヤル。イマイ記者の執念がすごすぎて、最後には笑っちゃうほどだった。
ていうか、テレビで見たかったー。とくに「指詰めのマサ」のところ。

バウンド―纏足

 >>Bound(Donna Jo Napoli)
内容(「BOOK」データベースより)
幼い時に母を亡くし、自分を大切にしてくれる父も亡くしてしまったシンシンは、継母や姉から家の雑用一切を押し付けられて暮らしていました。継母は姉を結婚させようと必死ですが、もし、うまくいかない時は、生活費のためにシンシンを売るつもりです。中国のシンデレラを描いた、不思議と神秘の物語。

表紙が可愛くて読み始めた本。ドナ・ジョー・ナポリによる「シンデレラ」の再話。なかなか面白かった。
シンデレラの設定をリアルに描かれるとキツイかもなぁと思いながら読み始めたのだけど、悲惨な雰囲気は全然なくて、適度に昔話&ファンタジーっぽい雰囲気が漂ってて読みやすかった。翻訳もよかったのかも。

昔の中国を舞台にしていて、纏足という中国の習慣が話の核として描かれている。この話の主人公シンデレラはシンシンという女の子で、父親はすでに亡くなっている。家の家事雑用は全部、小さなシンシンの役目。というのは理由があって、継母は纏足をした女性で自由に立ち働くというわけにはいかないし、シンシンの異母姉ウェイピンはもっと可哀そう。普通、纏足はちいさな子供のころからするものなのに、ウェイピンはかなり大きくなってから始めたので、歩けないし、足が痛くて痛くてしょうがない。てか、そんなやり方したら、足に障害が残るんじゃ?というレベルのヤバい雰囲気。

家の家事雑用、力仕事も全部シンシンの役目というのは可哀そうだけれど、姉ウェイピンや継母も可哀そうなので怒りは湧いてこないなあ(^^; 継母はウェイピンに良い結婚相手を見つけようと必死なのだけど・・・実は一番健康で頭がよくて、未来が開けているのはシンシンだというのが明らか。それに、シンシンは纏足をしていなくてもウェイピンより足が小さくて顔も可愛いいんだそうな。シンシンが王子様と幸せになるのは大変結構だけれど、私はウェイピンが気になるよー! このまま結婚相手が見つからず、歩くにも不自由が残り、ということは働いて一人で生きていくこともできなそうだし・・・ひー!

面白かったので次は『逃れの森の魔女』を読んでみようと思う。こちらはヘンゼルとグレーテルだそうな。

RDG2 レッドデータガール はじめてのお化粧

神霊の存在や自分の力と向き合うため、生まれ育った紀伊山地の玉倉神社を出て、東京の鳳城学園に入学した鈴原泉水子。学園では、山伏修行中の相楽深行と再会するも、二人の間には縮まらない距離があった。弱気になる泉水子だったが、寮で同室の宗田真響と、その弟の真夏と親しくなり、なんとか新生活を送り始める。しかし、泉水子が、クラスメイトの正体を見抜いたことから、事態は急転する。生徒たちはある特殊な理由から学園に集められていたのだった…!! (出版社サイトより引用)

29日発売!と聞いて買ってきて即行で読みました! というか、読みだしたらやめられなかった。2時間ミステリは見なきゃいけないし、本は読みたいし、編み物もしなきゃいけないし、なんて忙しいんだろうって感じ。
なんだかもう、荻原さんの術にハマってるなあ私・・・と思った。主人公の泉水子と深行がいいんだよ〜。とくに泉水子、この子の性格は10年前だったらムカついてたかもしれないけど、今の私には「この子ったらもう超かわい〜」としか思えん。新キャラの三つ子もいいねー。こういうの好き。
この先のストーリーがどうなっていくのか、さっぱり読めない。かなり大風呂敷広げてる気配がするんだけど、こんなハードカバーでずっと出していくんだろうか・・・。どの位の長さになるのかなあ。この調子で学園生活が延々と続いたら、3冊とか5冊程度では到底終わらないような気がする。

The Friday Night Knitting Club@2/36章

翻訳>金曜日の編み物クラブ

糸作さんの紹介を見て、にわかに興味がわいて買った本、さっそく読み始めました♪ 滑り出し好調。ニューヨークにあるという(設定の)Walker and Daughterという毛糸屋さんを中心にしたお話だそう。英語よむの久し振りだから難しく感じたけど、少し慣れてきたかも。
言葉の使い方がうまいなあ。作者は相当なニット好き? 

こことか、いいね。

Even now, it still seems unbelievable to me that by pulling together a motley collection—the soft yarn, the sharp needles, the scripted pattern, the smoothing hook, the intangibles of creativity, humanity, and imagination—you can create something that will hold a piece of your soul. But you can.

しかし、ペーパーバック持ち歩くのなんて何年振りだか!
タイトルは前々から知ってたけど、以前調べた時は「まぁまぁだね」「悪くないけど別によくもないよね」的なレビューが多かったのでさして興味もわかずに素通りしてた。届いてみてビックリ、PBで400ページ近いよ!?こんなに長い本なんだ!?どうりで翻訳本が2500円もするわけだわ!

 

玩具修理者 (角川ホラー文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも…死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。私は弟を玩具修理者の所へ持って行く…。現実なのか妄想なのか、生きているのか死んでいるのか―その狭間に奇妙な世界を紡ぎ上げ、全選考委員の圧倒的支持を得た第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。

とーーってもSFっぽい本だった。サイエンスっぽくはないけど、やっぱSFだよコレ。
この本は中編が2作入った文庫本で、片方がスプラッタホラー、片方がタイムトラベルもの。書き方が軽くカラッとしてて、人の感情よりも事態の説明、解説が多いからあっさり読めてしまったけど、よーく考えると2話ともかなり気持ち悪くて救いがない話。会話が回りくどくて理屈っぽいのと、血みどろの描写が気持ち悪かったけど、設定は面白かった。

表題作の『玩具修理者』がまたすんごく気持ち悪い話で、壊れてしまった(ていうか死んでる)弟を直してもらいに、近所に住む謎の人物「玩具修理者」のところへ行く話。激しくスプラッタ。2話目の『酔歩する男』タイムトラベラーの話なのだけど・・・これまた激しく救いがない。私が好きな感じの本ではないけど、結構面白かったんだよなー。登場人物の回りくどいやりとりに若干イライラしつつも、ちゃんと最後まで楽しく読めた。

この気持ち悪さ、気色の悪さ、居心地の悪さは意図的なものだろうから、だからこその日本ホラー小説大賞受賞なんだろうと思う。乙一といい、この作家といい、こういう私が「気持ちの悪い」と感じる作品って、何か共通のベース(基礎、共通認識みたいなもの)がある気がするんだけど、なんだろう。